スーパーの駐車場から元カノの部屋に向かう時、いつも後ろめたい気持ちになる。自分は良くないことをしているのだと思う。恥ずかしいことをしているのだと思う。呼び鈴をおして呼びかけても、反応はない。いつもとおなじだった。郵便入れに封筒を差して、帰ってきた。
帰り道、パーキングエリアでむかしカップラーメンを露天で食べたことを思い出した。しかし今はもう食欲がない。あの頃は、そんなことをしても面白いと思えていた。でも今は、シャレにならない気がする。あの頃はまだ、なんだかんだでそこまで絶望していなかったのではないかという気がする。自分はまだ若いと思っていた。能力がまだ伸びる、自分には伸びしろがあり、開花する潜在能力があると思っていた。正しく評価されていない能力があり、正しい場所にめぐりつけばそこで輝けるのだと思っていたはずだと思う。まわりの人たちよりも自分のほうがマシで、自分が優越感を感じられる人たちがまわりに見えていた気がする。でも今は、まわりで一番ダメなのが自分だという状況になっている。年収も低く、将来性も低く、体力も衰えて、野心もなくなり、結婚もできず昇進もできるはずもない。もっていたスキルセットも時代遅れになってしまい、通用する能力をもっていない。元気もなく、体重も痩せて、弱弱しい。ひたすらネガティブになっていく。精神的に消耗して、力を蓄えることもできない。