悩みのない人間こそがもっとも生きにくい

 悩みのない人間には、2種類あるだろう。

 一つは能力があまりにも卓越しているがゆえに悩む必要がない人間。もう一つが、悩む力がないために悩むことができない人間。

 悩む必要がないということと、悩むことができないということは違う。私が思うに、ほとんどの人間は悩んで反省しながらしか適応していけないと思う。驚嘆すべきIQの持ち主なら、悩むまでもないのかもしれないが、普通は何かに戸惑い、思い迷ってそこからやり方を変えるという事を繰り返す。その悩み方のスキルさえ学習すれば、まったく不得意なことですら失敗のたびに結果を改善し続けられるのである。

 だがもしかすると、世の中には、悩む能力がそもそもない人間もいるのではないかという気がしてきている。失敗しても、反省できない。同じことを繰り返してしまう。例えば、やめたほうがいいと分かっているのにタバコをやめられない、アルコールをやめられないように。行動を改めるとか改善するということが、なんど失敗を繰り返してもまったくできず、最終的には病んでいくしかない。そういう人は、明らかに、自力で幸せになる力は低いと思う。かくいう私がそうなのだろう。そんな風に今思う。