美しい男性をしっている。
ビジュアル系と言うべき人だった。目鼻立ちがくっきりしており、各パーツが大振りで、デフォルメされた人形のような美しさだった。
彼は、賢かったと思うけれど、どういうわけか、周りの人の操り人形のような人でもあった。教授は、彼がリーダーだと思って彼にむかって話しかけていたが、実際には彼は他の仲間たちの操り人形にされていてリーダーという感じではなかった。
政治家というのも、なにかそういうものかもしれない。彼が正面に立ってすべてを浴びせられる。けれど彼は、その実、まわりのいうことに右往左往している。
欲望が、彼を矢面に立たせる。彼は、なぜ生贄のように、他人の言ったことの責任をとらされているのだろう。哀しみがこみあげる。美しさの罰だとでもいうのか。そのような生涯の中で彼がグレていったとしても、私は、むしろそれはそうなるだろうという理不尽を感じる。世の中の、しわ寄せを背負わされる本当の弱者とは何なのか。色々なところに、光の当たらない不幸な人たちがいる。