急流としか言いようのないところで勝負して一攫千金を狙っている人達がいる。そこでは大物が狙えるが命も持っていかれるかも知れない。
彼らがそこにむかうのは、魚がかくれる漁場がすでに大勢の釣り人で飽和していて場所がとれないからでもある。
一番の勝ち組は急流で大物を釣り上げた人なのだろうか。本当の勝ち組は魚がかくれる漁場でなわばりを確保できた人のほうなのかもしれない。
もっとも哀しいのは急流に惹かれてしかしやはり釣果に恵まれなかった人で、彼らはもどれる漁場もなくずっと一か八かの大物狙いのナラティブを信じさせられて釣れないまま命を全うしてしまう。急流ではほとんどだれもがこうなる運命だ。漁場のなわばりが飽和した時点でそこからあふれた人々がこうなることは運命づけられていた。