ニコタマまで通勤していたことがある。メガベンチャーだった。あの頃は元カノと同棲していて朝食を作ってくれたりしたけれど、出社時はこんな気分になっていた。逃げられないのだという感覚。
仕事が嫌なのではなく、何が起きるかわからない状況に逃げられないという感覚が嫌だった。朝早めに最寄り駅までついてトイレにこもって今日何が起こりそうかをかなり細かく予測して、何時に何をしていたらいいかすべて固めてゲートを通る。毎日、居心地の悪さやうしろめたさ、場違い感を皮膚で感じた。そんなことを感じる必要があとから思えばなかったと思うけれど、その時その時は本当にそう感じるのが抑えられない。今でもそれは変わっていないのだなと、中央線の車内で痛感している。いってしまえばいつもうまくいく。しかしそこに到着するまでの間は、一人だろうと二人だろうと、どんな環境だろうと常に不安なものに思える。