かつてはインターネットそのものがアンダーグラウンドだった

 インターネットそのものが、社会の裏面のようだった時期があった。

 インターネットを使うことそれ自体が、既存の社会秩序の侵害のように思えるほどだった。ソフトウェアや音楽や映画の違法コピーがあふれ、世界中からはみ出し者が集まっていた。

 思い出せば私はそういう中で思春期を過ごした。まともな大人の社会に居場所をみつけられる未来など想像もできない。だが、インターネットは徐々に浄化され、社会の表面に融合していった。

 それはインターネットがつまらなくなっていく歴史でもあり、はみ出し者が社会に役割を見出せるようになっていく歴史でもあったように思える。