とにかく、アルコール依存症になると、
酒がうつっている写真を観ただけで脳の様々な部位が興奮するようになるらしい。そしてこれは、5年以上断酒してももう元には戻らないそうである。
自転車に乗れるようになった人が、10年ぶりぐらいに自転車に乗っても、もう乗り方を忘れて補助輪がないと乗れないということにはならないのと同じように、一度作られてしまった脳の回路は、使わなかったとしてももう中々失われない。
一度アルコールで脳の報酬系が働くようになってしまうと、5年以上断酒しても、アルコールで興奮する脳は変わらないし、またアルコールを飲んでしまうと、すぐに元通りに戻ってしまうのだということである。
たぶん、肝臓などがアルコールでダメージを追った分は、アルコールをやめている間に回復するのだろうが、脳がアルコールに依存してしまう回路を作ってしまったこと自体は、一度そうなってしまうとこれは元には戻らないということなのだろう。
むかしある人が、アルコールを辞めると言うのは、辞め続けることなのだから、苦しいんだと言っていたことを思い出した。あの当時は酒を飲んでいなかったが、辞め続けているという意識はなかった。タバコにしてもそうで、やめると急にやめてしまえる。
それにしても思い出すのは、元カノとあうときはいつもアルコールが飲めなくなっていたなということだ。元カノといるときはいつもアルコールの事を言われていた気がする。私は同棲している間アルコールを2年半飲まなかったが、その間もアルコールを辞め続けるのは苦しいんじゃないかとか、ダルクが近所にあるようだとか、そんなことをときどき言われていた。食欲がなくなったりアルコールが飲めなくなったりする。それ自体は、悪い事ではないけれど、アルコールのこととなるといつも思い出してしまう。ドラッグストアで歯ブラシをみていたときも、そういえば歯磨きが長く丁寧な人だったな、歯間ブラシとか糸ようじとかいろいろ使っていたなと思い出してしまった。ついにアルコール外来に通うようになったよ、教えてもらった断酒の会みたいなのにもいくかもしれないつもりだよと、伝えたい気持ちになるけれど、もう会ってはいけないんだなとも思い出す。ノックビンを飲むという事と、会いに行くと警察に逮捕されるということとが、重なってくる。