断酒だけではよくならない

 断酒だけではよくならない。

 それは断酒だけでは、収入が得られるわけでも、結婚相手がみつかるわけでも、人に褒められる特技がみがけるわけでも、楽しみがうまれるわけでもない。

 断酒をしながら、仕事でも頑張り、婚活もし、スキルも磨き、私生活も存分に楽しむことが大事で、それらすべてを投げうって断酒だけしていればいいという風な考えに至ったら、これはアルコールに依存する生活とほとんど同じぐらいすべてを失う可能性があるということをとにかく私の場合は意識しておきたいなと思っている。

 断酒ももちろん必要だし、これでもう心配がない、安泰だという状態になるために酒を飲んでいるわけにはいかないのだが、安泰といえる状態のために必要ないろいろなもののほとんどは、断酒だけでなくてそれ以外の実際の活動をとおしてしか調達できないリソースなのだということは忘れるわけにはいかない。

 生活保護を受給しているとか、年金がとても多い高齢者とか、生涯年金がとても多い重傷者とかは、断酒さえ気をつけていれば、持ち崩さずに安泰ではある。だが我々も同じかと言えば、そのままやっていれば、生活保護に落ちていくと言う意味では同じかもしれないが、社会の役に立つためには、失うかもしれないものを失うよりは失わないで戦えるうちは戦うために体を張り続けていく努力を貫いたほうが、より多くの人達に希望を見せられると思う。そのために身と心をある程度、できる範囲で犠牲にするのが社会への恩返しだ。

 誰もにそれをやるべきだということは思わない。そんな風に生きることが過酷すぎると思える人達も多い。けれど私の場合は、背負っている罪が重い。世の中への罪滅ぼしのためにある程度自分が犠牲にならないと、すまされないという思いがぬぐえない。