元カノとカラオケにあまりいかなかった

 元カノとカラオケに行ったのはたぶん2回だけだろう。

 出会ったばかりの頃に、彼女の家の近くのカラオケ屋にいったのと、こちらのカラオケ屋にいったのとで二回だけだろうと思う。

 カラオケというのはいつもそうだが、中々つらい。自分は歌うのが好きだが、他人が歌っているのを聞くのがつらい。楽しんでいる風をしつづけるのがつらい。

 大勢でいくのであれば、なんとか気がまぎれる気がする。二人だけでカラオケにいくというのは本当につらいものがある。

 元カノと色々なところに行ったけれど、同じところに二度行くことはあまりなかったと思う。

 クリスマスや年末年始や誕生日が毎年やってくるのもつらかった。最初の一回目は良かったが、毎年はつらいと思った。義務感になっていくのだ。クリスマスケーキを買わなければならない。

 不満があったのかもしれない。具体的に何が不満だったということではなく、窮屈に思え始めたのかもしれない。

 週末になるたびに二人でいなければならず、それが苦しくていつも外に繰り出す。それを彼女は家族サービスと呼んだことがある。姉弟のようになってしまっているので夜もうまくいかず、週末は家族サービスをがんばらないといけない、と。

 別れた冬にはよくゲームをしていた。プレステ4のゲームを色々買って遊んでいた冬だった。彼女はリモートプレイで別居してからもうちのプレステ4につないで遊んでいたことがあった。彼女が遊んでいる後ろで好きなことをしているのは幸せだった。

 彼女がうちにきてオンラインサロンをやっている間に、外を散歩してくるのも幸せだった。風呂に入っているとテレビを見て笑っている彼女の声が聞こえるのが幸せだった。