上昇志向

 若いうちは当然上昇志向をもつべきで、それは健全なことだと思う。

 成り上がりたいという感覚からスタートするのは動機としては実は不純かもしれないがアメリカ的な発想では、健全なことだと思う。大勢が自由に競争することで全体の得になるのだ。

 ただ、本当に上に行くときには成り上がりたいと言う欲望から一皮むける時期を超える必要があるのではないかなという気がはた目にはする。おれがおれがではなく、誰かのためという段階、そしてさらには、公のため全体のためという段階を経て大勢を支える親方になっていくのだと思う。

 最初の動機が不純だったからと言って、ゴールにたどり着かないということはまったくない。道はあらゆる方向にのびている。ゴールした時点で、最初はこういう勘違いをしていたときがある、という風に笑って振り返るときがいずれくるのだろうし、その時にあの人でさえそう思う時があったのだなという風に親しみを感じられるチャームポイントになるのではないかと思ったりした。