藁の楯をみた

 藁の楯を観た。

 SEVENのラストのようなシーンがあった。しかし殺さなかった。面白かったのはそこではなくて、設定であった。その設定のため、時々正義と悪が反転するように思われる。正義でも悪でもない一貫性が主人公にはある。他の誰にもそれがない。しかしその一貫性は容易には守れたものでもない。人は誰でも悪に落ちる。本当の悪を前にすれば人は誰でも殺人鬼になれる。それでも悪に落ちないためには、一体何があればよかったのか。首の皮一枚であったように思える。たまたま悪に落ちなかっただけでしかない。あれでは誰でも自分が悪であると思わざるを得ない。そんな作品であった。